はじめに
新入社員の皆さん、毎日の研修お疲れ様です! 配属希望を考える中で、「情シス(情報システム部)」と「デジタル推進室(あるいはDX推進部など)」という二つの部署名を見て、こんな疑問を持っていませんか?
「名前は違うけど、結局どっちもIT系の部署でしょ? 何が違うの?」
実はこの疑問、新入社員だけでなく、中の社員ですら違いをはっきり分かっていないことがよくあります。 今回は、現役の若手メーカー情シスである私の目線から、世間一般のイメージと、現場の「リアルな実態」をわかりやすく解説します。配属先で迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
一般的なイメージと、現場の「リアルな立ち位置」
世間一般でよく言われる二つの違いは、「守りのIT」と「攻めのIT」です。
- 情シス(守りのIT): 社内のITインフラや、全社で使われる基幹系システム(生産管理や経理など)を安定稼働させる部隊。
- デジタル推進室(攻めのIT): 最新のAIやクラウドサービス、便利ツールをフットワーク軽く導入し、業務改善や新しい価値を生み出していく部隊。
これが教科書通りの説明ですが、私の会社の場合はもう少し泥臭い実態があります。
私の会社では、デジタル推進室は「各事業部(工場や営業部など)の中」に存在しています。彼らは、事業部の業務フローにも、ITにも詳しい「最強の橋渡し役」です。 事業部の人たちが「ITでなんか便利にしたい!」と思った時、いきなり情シスに相談をするのではなく、まずはデジタル推進室に相談します。すると、デジタル推進室がそのフワッとした要望を「ITの言葉」に翻訳して、情シスに相談を持ってきてくれるのです。 情シス目線でも、業務の現場にヒアリングしたいことがある時、デジタル推進室を通すと話が圧倒的にスムーズに進むため、非常にありがたい存在です(デジタル推進室に元情シス出身の先輩が多いのも大きな理由です)。
越えられない壁「システム権限」の偏り
協力関係にある両者ですが、明確な「壁」が存在します。それは「システム管理者権限」です。
私の会社では、システム周りの強い権限は情シスが圧倒的に握っています。 例えば、新しいサーバーを立てる、PCを導入する、基幹系システムのデータベースを直接参照するといった根幹の作業は、情シスでないとできません。デジタル推進室が単独で基幹系システムに手を入れることはできないのです。
これは単なる縄張り争いではなく、全社のセキュリティを担保するためであり、また、エンタープライズ向けのツールライセンスが非常に高額である(勝手に入れられるとコストが爆発する)という現実的な理由もあります。
あなたはどっち?配属を迷っている人へのキャリアガイド
では、これからキャリアを歩む新入社員は、どちらを選ぶべきでしょうか。若手情シスとして、はっきりと言い切ります。
■ 「情シス」を選ぶべき人 ITの純粋な技術力(プログラミング、インフラ構築など)を磨きたいなら、絶対に情シスです。 会社にもよりますが、デジタル推進室に配属されると、自分自身でコードを書く機会は少なく、開発会社(ベンダー)のコントロールや企画業務がメインになることが多いからです。
■ 「デジタル推進室」を選ぶべき人 システム開発自体はそこまでやりたいと思っていないけれど、「DXによる業務改善企画」には関わりたい人。そして何より、事業部の現場に近いところで働き、事業部への発言力を強く持ちたい人は、デジタル推進室が向いています。
【裏話】なぜSNSで「情シス vs デジタル推進」の対立は発生しているのか?
さて、ここからは少しディープな裏話を。 X(旧Twitter)などのSNSを見ていると、「情シスとデジタル推進室が互いに愚痴を言い合っている」対立構造をよく見かけます。幸い私の環境では良好な関係ですが、なぜ世間では嫌い合っていることが多いのでしょうか? 現役情シスなりに考察してみました。
理由①:デジタル推進室の「理不尽な客化」 デジタル推進室は、実は事業部内では立場が弱いことが少なくありません。メーカーにおいて「製品を作っていない」部署であるため、DXによるわかりやすい成果を強烈に求められます。 焦ったデジタル推進室が取りがちな行動は、「情シスのお尻を叩いて、既存システムのわかりやすい改善をさせる」こと。結果的に、無茶な納期で要求を投げてくる「理不尽な社内顧客」になってしまい、情シスから嫌われるパターンです。
理由②:情シスの「権限の非情な囲い込み」 逆にデジタル推進室の目線に立つと、IT担当として仕事をするならサーバー構築やDB参照は自由にやりたいはずです。しかし、情シスの偉い人はその権限を頑なに渡そうとしません(正直、若手情シスの私から見ても「なぜそこまで?」と思うことはあります)。これがデジタル推進室のフラストレーションになります。
理由③:【特大ブーメラン】そのシステムを作ったのは…… 情シスがデジタル推進室(元情シスの先輩)から依頼を受ける時、「この基幹システム、仕様がイケてないし使いにくいから直して」と言われることがあります。 しかし、情シス内で過去の設計書をひも解くと、その「使いにくいレガシーシステム」を作った当時の担当者が、目の前にいる今のデジタル推進室の偉い人だったりするのです(笑)。 「いや、あなたが昔作ったシステムですよね!?」という心のツッコミが、日々のヘイトとして蓄積していくわけです。
まとめ
SNSで対立が煽られがちな情シスとデジタル推進室ですが、なんだかんだ言って、根底にある「ITの力で会社を良くしたい」という志は同じ集団です。
どちらの組織も、会社によって役割や権限の強さがまったく異なります。今回お話ししたのはあくまで「あるメーカーのリアルな一例」ですが、皆さんが自分のキャリアを考える上で、少しでも解像度が上がるきっかけになれば嬉しいです。
どちらの部署に行っても、ITで会社を支えるやりがいは十分にありますよ。応援しています!


コメント